エクレルのみなさん、こんにちは。
内海昭徳です。
今年のとほかみプロジェクトのテーマの柱に
「富の創造」と言うことがあります。
それにちなんで、小噺をひとつ。
私の近所に大黒製パンという
パン屋さんがありまして、
多彩なコッペパンが売りの、人気店です。
名前から察せられるように
七福神の大黒様がシンボルなのですが、
店の看板を眺めながらふと、
「大黒」って、不思議な名称だなと。
それでググってみたところ、
なるほどなるほど、のトリビアでした。
大黒天の元の名は、マハーカーラ。
ヒンドゥー教のシヴァ神の異名です。
それは後に、ブラフマーとヴィシュヌも
吸収して、三神一体のものとなると。
では、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの
三神は何を意味するかというと、
それぞれ「創造、維持、破壊」という
3つの様相に対応します。
そして同時に、それらは、渾然として一体であると。
しかし、胎蔵界曼荼羅にも描かれているような
「大黒天」の激しい形相や似姿と、
日本で広まった柔和な「大黒様」の姿は、全く別の神かのようです。
その経緯はどうやら、
密教と共に「大黒天」が日本に入ってきた後、
因幡の白兎で有名な国津神の主宰神、
日本神話の「大国主」と習合された事にあるようです。
そして、破壊と豊穣という両側面のうち、
片方の破壊、の面は抜け落ちて
豊穣、財福の神としての信仰が残ったと。
それで、私たちに馴染みの
「大黒様」の姿になっているのですね。
しかしながら何事も、
元を忘れずに原点回帰するのは大事なこと。
マハーカーラが
「創造、維持、破壊」という
宇宙の根本原理を司っているならば、
何かを「創造」しようとした時、
本来それは「破壊」も必ず同時に伴う、ということですね。
人間の情緒としては、
財福が平安のうちに創造されることを
願いたくなるものですが
人間勝手のその一面的な願望では、
この時代、下手をすると足元をすくわれかねません。
むしろ、「創造、維持、破壊」という
宇宙のダイナミズムそのものと一如になって
潔く、断つべきは断ち、手放すべきべきは手放す。
執着しない質量ゼロの軽さそのものが、
「創造、維持、破壊」の無限循環を起こす上で
大切なあり方になってくるのかも知れません。
そして、マハーカーラの原義は
「マハー」(大いなる、偉大なる)
「カーラ」(時あるいは黒)
ということですので、
宇宙全体の「創造、維持、破壊」を司る
時のない時の中で、黒よりも黒い黒が働いている。
神道的に解釈すればそれは、
「中今の黒光の輝き」とも言えるでしょう。
宇宙の始原の神に通じる
「とほかみえみため」の言霊が
2021年にもたらす、「富の創造」の働き。
時流に押されて守りに入ることなく、
「創造、維持、破壊」の
ダイナミズムを、軽やかに楽しんで参りましょう。